C#

 

 RichTextboxをスクロールした状態で最小化し、その後。復帰させると、スクロールしていたのにも関わらず先頭に戻ってしまう現象に対処した記録です。

 

 

 

RichTextBoxのスクロール位置が最小化時にリセットされる理由

 

 RichTextBoxコントロールでスクロールしている状態でウィンドウを最小化し、復帰させると、スクロール位置が先頭に戻ってしまう現象の原因は、次のような仕組みによるものと推測します。

 

 ウィンドウが最小化されると、そのウィンドウの表示領域が非表示となり、ウィンドウの状態が保存されます。これにより、RichTextBoxのスクロール位置も含めた表示状態が一時的に保存されるため、再表示時に元の状態を復元する必要があります。

 

 しかし、この復元プロセスにおいて、RichTextBoxのスクロール位置を明示的に保存・復元する処理が行われていない場合、ウィンドウが最小化された際にRichTextBoxのスクロール位置情報が失われてしまいます。その結果、ウィンドウを復元するときに、RichTextBoxは初期状態から再開始されることになり、スクロール位置が先頭に戻ってしまうという推測を元に対処方法を考えてみました。

 

 

解決策と実装

 

 この問題を解決するためには、以下の手順を実装します:

 

1.スクロール位置の保存: RichTextBoxのスクロール位置を定期的に保存します。これには、Win32APIを使用して現在のスクロール位置を取得し、カスタムイベントを介して他の部分で利用できるようにします。

 

2.ウィンドウの最小化と復元の処理: ウィンドウが最小化されたときには、現在のスクロール位置を保存します。ウィンドウが復元された際には、保存したスクロール位置を再設定して、スクロール位置が保持されるようにします。

 

 以下は、C#での具体的な実装例です。

 

// Win32APIの定義とインポート
using System.Runtime.InteropServices;

public class Win32API
{
    // Win32APIの定義とインポート
    [DllImport("user32.dll", CharSet = CharSet.Auto, SetLastError = true)]
    public static extern int GetScrollPos(IntPtr hWnd, int nBar);
}

public class ScrollPositionEventArgs : EventArgs
{
    public int ScrollPosition { get; set; }
}

public partial class Form1 : Form
{
    private bool isMinimized = false; // ウィンドウが最小化されたかどうかを記録するフラグ
    private int savedScrollPosition; // 最小化前のスクロール位置を保存する変数

    public Form1()
    {
        InitializeComponent();
        // RichTextBoxのスクロールイベントにイベントハンドラを設定
        richTextBox1.VScroll += richTextBox1_VScroll;
    }

    // RichTextBoxのスクロール位置を取得
    private int GetVerticalScrollPosition()
    {
        const int SB_VERT = 1;
        int position = Win32API.GetScrollPos(richTextBox1.Handle, SB_VERT);
        return position;
    }

    // スクロール位置が変更されたときの処理
    private void richTextBox1_VScroll(object sender, EventArgs e)
    {
        int scrollPosition = GetVerticalScrollPosition();
        OnScrollPositionChanged(scrollPosition);
    }

    // カスタムイベントを発生させる
    public event EventHandler ScrollPositionChanged;

    private void OnScrollPositionChanged(int position)
    {
        ScrollPositionChanged?.Invoke(this, new ScrollPositionEventArgs { ScrollPosition = position });
    }

    // ウィンドウメッセージ処理
    protected override void WndProc(ref Message m)
    {
        const int WM_SYSCOMMAND = 0x0112;
        const int SC_MINIMIZE = 0xF020;
        const int SC_RESTORE = 0xF120;

        switch (m.Msg)
        {
            case WM_SYSCOMMAND:
                int wParam = m.WParam.ToInt32();
                if (wParam == SC_MINIMIZE)
                {
                    // ウィンドウが最小化された場合
                    isMinimized = true;
                    savedScrollPosition = GetVerticalScrollPosition();
                }
                else if (wParam == SC_RESTORE && isMinimized)
                {
                    // ウィンドウが最小化から復元された場合
                    isMinimized = false;
                    OnScrollPositionChanged(savedScrollPosition);
                }
                break;
        }

        base.WndProc(ref m);
    }
}

 

 

注意点

 

 今回は上記で良しとしたが、他の操作によってスクロール位置がリセットされるバグが発生するかもしれない、という事を考慮しておくべき。まだ推測的な未知のバグなので、それについての対策はまだ出来ない。なので、この対処方法でも完ぺきではない

 

 

まとめ

 

以上の手順を実装することで、RichTextBoxのスクロール位置がウィンドウの最小化と復元によってリセットされる現象を防ぐことができました。これにより、ユーザーがスクロールしていた位置が維持され、より快適な操作環境を提供することが、とりあえずは可能になりました。